探偵の依頼ノート

催告による時効の完成猶予は一度きり

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2026/9/28更新 2026/9/11公開

時効が迫っているとき、催告を繰り返すだけでは期限を延ばし続けられません。催告・裁判上の請求・協議の合意は条件が異なるため、期限と次の手続きを弁護士に確認してください。探偵への依頼や、通常の相談をしただけで期間が止まるわけではありません。

最初に、誰への何の請求か、すでに催告したか、期限がいつかを分けて記録します。 次の図は各条文の違いを読むための見取り図です。自分の期限を図だけで確定せず、弁護士へ資料を示してください。

使う条文延び方

  1. 催告(150条1項)

    その時から六箇月

    2項により、猶予されている間の再度の催告には効力が無い。方法は条文が決めていない

  2. 裁判上の請求など(147条1項)

    その事由が終了するまで

    権利が確定せずに終わったときは終了から六箇月。確定したときは2項により新たに進行を始める

  3. 協議の合意(151条1項)

    合意から1年・定めた期間・拒絶通知から六箇月のいずれか早い時

    書面または電磁的記録の合意。催告との組合せは3項の制限も確認する

延び方と繰り返せるかが、条文ごとに違う(民法150条・147条・151条)

すでに催告したら、六箇月を足し直さない

民法150条1項です。

催告があったときは、その時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。

催告とは、支払ってくださいと相手に求めることです。条文は方法を決めていないので、口頭でも催告になります。内容証明郵便が使われるのは、送った内容を証明するためで、条文がその形を求めているからではありません。

注意するのは2項です。

催告によって時効の完成が猶予されている間にされた再度の催告は、前項の規定による時効の完成猶予の効力を有しない。

六箇月のうちにもう一度催告しても、そこから六箇月にはなりません。繰り返して引き延ばすことはできない形になっています。

六箇月の間に、裁判上の請求などを相談する

民法147条1項の柱書です。

民法147条1項を開く

次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了する(確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定することなくその事由が終了した場合にあっては、その終了の時から六箇月を経過する)までの間は、時効は、完成しない。

1号が裁判上の請求で、2号が支払督促、3号が和解と調停、4号が破産手続参加などです。訴えている間は時効が完成せず、権利が確定しないまま終わった場合でも、そこから六箇月の猶予が付きます。

権利が確定したときは、2項が別の扱いを置いています。

前項の場合において、確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定したときは、時効は、同項各号に掲げる事由が終了した時から新たにその進行を始める。

猶予ではなく、そこから数え直しになります。

話し合いを続けるなら、書面で合意する

話し合いを続けたいだけなら、民法151条1項があります。

権利についての協議を行う旨の合意が書面でされたときは、次に掲げる時のいずれか早い時までの間は、時効は、完成しない。

「書面でされたとき」が条件です。口頭の約束だけではこの規定の条件を満たしません。ただし151条4項・5項は、内容を記録した電磁的記録も書面と同様に扱います。期間は、合意から1年、当事者が1年未満の期間を定めたときはその期間、協議の続行を拒絶する通知が書面でされたときはその通知から六箇月の、いずれか早い時までです。

2項が繰り返しを認めています。

全文を開く(115字)

前項の規定により時効の完成が猶予されている間にされた再度の同項の合意は、同項の規定による時効の完成猶予の効力を有する。ただし、その効力は、時効の完成が猶予されなかったとすれば時効が完成すべき時から通じて五年を超えることができない。

協議の合意は、条件を満たせば再度行えます。ただし、猶予がなければ時効が完成するはずだった時から通算五年が上限です。

151条3項にも注意が必要です。催告による猶予中に協議の合意をしても、協議による完成猶予の効力はありません。逆に協議の合意による猶予中に催告しても、その催告による完成猶予の効力はありません。交互に行えば延長できるという制度ではないため、次の手続きを早めに相談します。

「催告」と書いてあるかどうかは関係ない

150条は方法も書式も決めていないので、書面の表題が「通知書」でも「請求書」でも、支払を求める中身があれば催告になります。ただし、具体的に何の権利について履行を求めたかが重要です。金額欄の有無や表題だけで判断せず、送付前に文面と送付方法を弁護士へ相談してください。

見られるのは、何を求めたかが相手に伝わったかどうかです。送った内容に加え、相手に届いたことが分かる記録も残します。日本郵便の説明でも、内容証明のみでは受取りを証明できず、配達証明を別に付ける必要があると案内しています。

相手が認めると、期間はやり直しになる(152条1項)

150条と151条は「完成しない」だけで、進んだ期間は消えません。これに対して152条は、進んだ期間そのものを捨てます。

時効は、権利の承認があったときは、その時から新たにその進行を始める。

猶予ではなく更新です。ゼロから数え直しになるので、六箇月を作る催告とは効き方が違います。

この場面でいう承認は、相手が支払を約束する書面を出すことが典型です。金額と支払の期日を書いた書面を相手が出せば、その時から数え直しになります。書面に何を書くかは浮気の誓約書に効力を持たせる条件にまとめました。

なお152条2項は、承認をするのに処分の権限が要らないとしています。認める側にとっては、軽い気持ちで書いた1枚でも効いてしまうということです。

どの順で使うことになるか

期間が迫っているときは、すでに催告による猶予中かを伝え、裁判上の請求など次の手続きを弁護士へ相談します。催告による猶予中に協議の合意をしても、その合意による完成猶予の効力はありません(151条3項)。 六箇月の間に合意すれば延ばせると考えず、手続きと期限を確認してください。

慰謝料の請求権がいつから数えて何年なのかは浮気の慰謝料はいつまで請求できるかにまとめました。相手が2人いる場合の数え方もそこにあります。

調査で相手が分かった日が「知った時」になるかは、集まったものの中身で変わります。証拠として使えるかどうかの判断は浮気の証拠として使えるかは事前に決まらないにあります。

相手が複数いるときは、それぞれに向ける

催告も協議の合意も、向けた相手にしか効きません。配偶者と相手方の両方に請求する場合は、時効の期間もそれぞれで進みます。片方に催告したことで、もう片方の時効まで止まることはありません。

だから、送る先の数だけ記録が要ります。誰にいつ何を送ったかを分けて残すことになります。

相談に持っていく記録

催告の文面と送付日、相手に届いた記録を一緒に残します。協議の合意があれば、その書面も持っていきます。送った日だけから六箇月を数えず、何をいつ誰に求め、いつ届いたかを弁護士と確認してください。

請求そのものを誰に頼むかは、弁護士か本人かで分かれます。探偵業者(届出を出して営業している探偵事務所)は調査と報告までで、依頼のときに書く書面は何のためにあるかに書いたとおり、結果を違法な行為に用いない旨の書面を出すことが依頼者の側にも求められています。

期間や手続で迷うときの相談先は、法テラス(日本司法支援センター)と各地の弁護士会です。

この記事で確かめたこと

原文から引用した文
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