浮気の証拠として使えるかは事前に決まらない
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報告書を受け取ったら、追加調査を頼む前に、何のために誰へ見せたいかを整理します。 裁判でどこまで証拠として評価されるかは事前に保証できません。まず手元の報告書と元の資料を弁護士へ示し、足りない点を相談してください。
このページでは、話し合い・調停・訴訟の違いを確認したあと、資料を人に見せる際の注意と、依頼前に決める条件を整理します。調査を追加する以外の進め方も相談できます。
まず、話し合い・調停・訴訟のどこで使うか
裁判まで行くかどうかで、求められるものが変わります。話し合いで別れるなら相手が納得するかどうか、訴訟なら裁判所が決めます。
当事者どうしの話し合い
- 相手が納得するかどうかで決まる
家庭裁判所の調停
- 話がまとまるかどうかで決まる
- 調停委員が間に入る
離婚の訴訟
- 裁判所が決める
決めるのが相手か、裁判所か。訴訟まで行くと、民法770条1項が離婚できる場合を限っている
訴訟で離婚できる場合は、民法770条1項が各号に限っています。1号が配偶者に不貞な行為があったとき、4号が婚姻を継続し難い重大な事由です。条文には「不貞な行為」の定義が置かれていません。2つの号の違いは浮気はどこからかを、条文は決めていないに、集めた証拠を警察へ持っていく先が無い理由は浮気は犯罪か。刑法に置かれている条文を見るにあります。
話し合いで別れる場合には、この条文は関係しません。相手が同意するなら、理由を証明する必要はないからです。つまり「どこまで揃えるか」は、どこまで行くつもりかで決まります。先に決めておかないと、調査の期間も費用も決められません。
写真1枚で、裁判の結論は決まらない
何が証拠として何点、という決まりはありません。出された材料を全部見て、裁判官が判断します。根拠は民事訴訟法247条です。
裁判所は、判決をするに当たり、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果をしん酌して、自由な心証により、事実についての主張を真実と認めるべきか否かを判断する。
だから「この報告書があれば勝てる」と言える人は、事業者にも弁護士にもいません。逆に「写真が無いから無理」とも決まりません。
訴訟の前に調停がある
離婚の訴訟は、原則として先に家庭裁判所の調停を申し立てます(家事事件手続法257条1項)。
第二百四十四条の規定により調停を行うことができる事件について訴えを提起しようとする者は、まず家庭裁判所に家事調停の申立てをしなければならない。
申立てをせずに訴えた場合は、原則として裁判所が職権で調停に付します。ただし2項ただし書は、裁判所が調停に付することが相当でないと認める場合を除いています。自分の手続きは弁護士へ相談してください。
調停は話し合いの場で、証拠調べの手続きではありません。そのぶん、相手が事実を認めるかどうかで進み方が変わります。裁判の手前で終わることを想定するなら、期間を長く取って費用を積むより、先に相手と話す材料を用意するほうが効くこともあります。
依頼のときの書面が、使い道を縛っている
依頼する側は契約の前に、調査の結果を違法な行為に使わないという書面を出します。探偵業法7条です。
探偵業法7条を開く
探偵業者は、依頼者と探偵業務を行う契約を締結しようとするときは、当該依頼者から、当該探偵業務に係る調査の結果を犯罪行為、違法な差別的取扱いその他の違法な行為のために用いない旨を示す書面の交付を受けなければならない。
事業者の側にも対応する規定があり、違法な使い道を知ったときは、途中でも業務を行えません(9条1項)。
探偵業者は、当該探偵業務に係る調査の結果が犯罪行為、違法な差別的取扱いその他の違法な行為のために用いられることを知ったときは、当該探偵業務を行ってはならない。
使い道を途中で変えた場合も同じです。書面そのものの説明は依頼時の確認書面と署名前の注意点にあります。
取り方に問題があった場合
調査の方法そのものに問題があると、報告書の扱いにも影響します。探偵業法6条は、届出をしても他の法令の制限は外れないと明記しています。
同意なく GPS を取り付ける、住居に立ち入る、通信をのぞき見る。どれも他の法令に触れうる行為で、探偵だからできるものではありません。GPS についてはGPSを付ける調査は条文でどう扱われるかに、相手の端末から取った場合は浮気の証拠にスマホを見ることは不正アクセスにあたるかに、全体の線引きは探偵業法でもできないことがあるにまとめました。
受け取ってから聞いても、やり直しはききません。依頼するときに方法を確かめておきます。
報告書を人に見せることについて
報告書を職場や親族に見せる、SNSに出すといった使い方は、損害賠償の対象になる可能性があります。報告書には調査対象の行動や、無関係な第三者の姿が含まれるためです。
秘密を守る義務(探偵業法10条1項)は事業者にかかっていて、依頼した側は入りません。だからといって、自由に配ってよいことにはなりません。民法709条があります。
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
続く710条は、財産以外の損害も賠償の対象になると定めています。探偵業法が規制していないことと、他の法律で問題にならないことは別です。使う相手を絞ることになります。
本当のことでも、公開してよいとは限らない
報告書の中身が本当のことでも、人前で広めれば名誉毀損にあたりえます。刑法230条1項です。
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
読みどころは「その事実の有無にかかわらず」です。探偵の報告書は実際にあったことの記録ですが、それでも公然と摘示すればこの条にあたりえます。
名誉毀損の特例には条件がある
罰しない特例(230条の2第1項)はありますが、私生活上の交際関係は当たりにくいと読むことになります。
前条第一項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。
条件は3つです。公共の利害に関する事実であること、目的が専ら公益を図ることにあったこと、そして真実であることの証明があったこと。同条2項は、公訴が提起されていない人の犯罪行為に関する事実をここに含めていますが、不貞そのものは犯罪行為ではありません。
なお231条は、事実を摘示しなくても公然と侮辱すれば同じ章の罪になると定めています。報告書を見せずに言葉だけで伝える形にしても、そちらへ移るだけです。
告訴の有無と、公開の判断を分ける
この章の罪は、相手が告訴しなければ起訴されません(刑法232条1項)。告訴がないことを、公開してよい根拠にしないでください。人に見せる目的と範囲を、事前に弁護士へ相談します。
追加調査の前に、契約と提供物を見比べる
契約で決めた調査範囲と、実際に得られた結果を分けて確認します。契約後に交付される書面の3番目が調査の内容・期間および方法、4番目が報告の方法および期限です。裁判まで想定するなら、期間と方法をそこで決めておきます。突き合わせ方は報告書を受け取ったら確かめる、項目の並びは探偵の契約書に書かれる8項目にあります。
費用のことについて
調査にかかった費用を相手に請求できるかは、裁判所の判断になります。709条は「これによって生じた損害を賠償する責任を負う」と書いていますが、どこまでが損害にあたるかと、いくらになるかは条文が決めていません。だから「かかった額が戻ってくる前提」で予算を組まないほうが安全です。料金の見方は浮気調査の費用は内訳で比べるに、請求の期限の数え方は調査を始める時期は時効から逆算するにまとめました。
迷ったときの相談先
法律の適用や見通しは、事案ごとに違います。弁護士会の法律相談や、法テラスの窓口があります。契約や料金でもめている場合は、消費者ホットライン 188 が窓口になります。配偶者からの暴力が関わる場合は配偶者暴力相談支援センター、身の危険を感じるときは警察相談専用電話 #9110 があります。契約そのものの争いは解約と料金でもめたときの窓口に分けて書きました。
自分で集めた場合も、証拠として通るかは同じように裁判所が判断します。依頼した場合との違いは浮気調査を自分でやると、探偵業法の外に出るにあります。集め方の側の線は、録音なら浮気の証拠に録音は使えるかに条文から整理しました。
使い道を先に決めてから頼む
証拠は取れば効くものではなく、何に使うかで必要な形が変わります。だから調査を頼む前に、どこまでを目的にするかを決めておきます。
記事末尾の表に挙げた総合探偵社クロルは、調査料金のページで調査別の基本料金を「〜」付きの下限で示しています(2026年8月30日確認)。基本料金の表示だけでは今回の総額は分かりません。何を調べたいかを伝え、見積もりの対象となる範囲を聞きます。届出の番号は会社概要にあります(東京本社は東京都公安委員会 第30210097号)。
同じ表のCORE探偵事務所は、料金の一覧をサイトに出していません。調査内容と状況に応じてプランを提案する、という案内で、見積もりは無料です(2026年9月1日確認)。料金表が無い事務所では、目的と期間を先に決めることが、見積もりを取る前提になります。届出は標識の画像をトップページに掲げる形です(東京都公安委員会 第30250261号)。
標識と番号のどちらをどう読むかは探偵業届出番号と標識を確かめる手順にまとめました。
この記事で確かめたこと
- 原文から引用した文
- 7件
- 出典
- 5件(法令 5)
- 公開
引用が出典の原文と一致するかを、公開後も機械で照合しています。確かめ方は運営者情報にあります。