探偵の依頼ノート

探偵に頼めないことは?調査・交渉・安全の相談を分ける

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2026/8/20公開

探偵業の届出は、他の法律で禁じられた調べ方や、依頼者の代わりの返金交渉を認めるものではありません。 何を知りたいのか、お金を取り戻したいのか、身の安全を守りたいのかで、相談する相手を分けます。

相談で「できる」と言われても、方法や結果の使い道を確かめてから判断してください。このページでは、頼めない行為の例と、調査以外の相談先を整理します。

頼みたい用事から、相談先を分ける

  • 所在や行動を知りたい調査の方法と使い道を確認
    法律相談の資料を整理
  • 解約・返金を交渉したい消費生活センター・弁護士へ
    契約トラブルの相談先
  • つきまといや暴力が心配警察や支援窓口へ相談
    警察相談専用電話 #9110
調査・交渉・安全の相談を分ける図です。個別の依頼の適法性や受任を保証しません。緊急の危険は110へ。

届出があっても、他の法律の制限は外れない

届出をしても、ほかの法律で禁じられていることができるようにはなりません。調べる相手の権利を侵害しないことも、探偵業法そのものが求めています。

根拠は、他人の依頼を受けて調べる探偵業務の原則を置いた探偵業法第6条です。この条文の探偵業者は、届出を出して営業している探偵事務所です。

探偵業法第6条を開く

探偵業者及び探偵業者の業務に従事する者(以下「探偵業者等」という。)は、探偵業務を行うに当たっては、この法律により他の法令において禁止又は制限されている行為を行うことができることとなるものではないことに留意するとともに、人の生活の平穏を害する等個人の権利利益を侵害することがないようにしなければならない。

届出で他の法令の制限が外れることはありません。調べる相手の生活や権利にも配慮する必要があります。

具体的に何ができないのか

6条は個別の行為を列挙していません。他の法令が禁じていることが、そのまま禁じられたままになる、という書き方だからです。よく問題になるものを並べると、次のようになります。

  • 相手の家や敷地へ入る提案。住居侵入などの問題を確認します。
  • 承諾なくGPS等を付ける提案。目的や行為の要件、権利侵害を確認します。
  • 相手の端末やアカウントを見る提案。不正アクセスなどの問題を確認します。

依頼する側から見ると、これらを引き受けると言う事務所は、6条の「留意する」を守っていないことになります。引き受けると言われたら、そこで一度立ち止まってください。

住居侵入は刑法に条文がある

たとえば、家や管理されている場所へ入る提案は、刑法130条の条件を確認します。根拠は刑法130条にあります。

正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金に処する。

条文は住居だけでなく「人の看守する邸宅、建造物」も並べています。マンションの共用部分や、管理されている駐車場もここに入りえます。

もう1つ読みどころがあります。「要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者」も同じ罰の対象です。入るときに問題が無くても、出るように言われて残れば同じ条にあたります。

入らなくても、のぞけば別の条文にあたる

敷地に入らなければ刑法130条には当たりません。ただし外から見る行為には、軽犯罪法1条23号があります。

正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者

軽犯罪法1条は、各号に当たる者を拘留または科料に処すると定めています。刑法130条より軽い刑ですが、入っていないから大丈夫という線は引けません。

条文が並べているのは、住居のほかに浴場・更衣場・便所です。これらは「人が通常衣服をつけないでいるような場所」の例として挙がっています。道路から窓を撮る、隣の建物から室内を見る。そういう形がここに入りえます。

軽犯罪法1条28号には、進路をふさぐ、不安や迷惑を覚えさせるような仕方でつきまとう行為も挙げられています。尾行という名前だけで判断せず、具体的なやり方を確認します。尾行の目的と方法の制限で、ストーカー規制法との違いを整理できます。

GPSの取り付けは、器物損壊にはあたらないことがある(刑法261条)

相手の車にGPS発信機を取り付ける行為について、器物損壊罪を挙げる説明を見かけます。条文はこうです。

前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

罰しているのは「損壊」または「傷害」であって、物を取り付ける行為そのものではありません。個別の行為がこの条文に当たるかは、物の効用を害したかなどの事情によります。取り付け方だけで、問題がないとは判断しないでください。

器物損壊にあたらないからといって、無断で追跡してよいわけではありません。だからこそ、GPSによる追跡はストーカー規制法の位置情報無承諾取得等という別の類型で定義されました。中身は浮気調査のGPSは条文でどう扱われるかにまとめました。

届出のある業者も、処分の対象になる

警視庁が2026年8月20日に公表していた処分には、警察官を装い、宅配業者を装って住居へ入った業者への67日間営業を止められる営業停止命令がありました。これは当時の公表事例です。現在の処分状況を示すものではありません。

届出は、個々の調査方法の適法性や品質の保証ではありません。探偵業の届出と欠格事由で、届出の意味を確認できます。

引き受けてはいけない依頼がある(9条1項)

依頼の中身にも制限があります。調査の結果が違法な行為に使われると知ったら、探偵業者はその調査をしてはいけません。

探偵業法9条1項です。

探偵業者は、当該探偵業務に係る調査の結果が犯罪行為、違法な差別的取扱いその他の違法な行為のために用いられることを知ったときは、当該探偵業務を行ってはならない。

ここに出てくる「違法な差別的取扱い」は、たとえば就職や結婚に関して出身などを調べて排除する場合が想定されています。この形の依頼が集まりやすいのが身辺調査で、条文の定義から外れる部分があることを素行調査と身辺調査の違いを内容で確認するで扱っています。

依頼する側にも、これに対応する義務があります。違法な行為に使わない旨を示す書面を、依頼者が探偵業者に渡すことになっています。中身は依頼時の確認書面と署名前の注意点にまとめました。

調べることはできても、交渉はできない

探偵ができるのは調べて報告するところまでで、依頼者の代わりに相手と交渉することはできません。

国民生活センターは、探偵業者にできることをこう説明しています。

探偵業者は、依頼を受けて実地調査を行い、その結果を報告することはできますが、依頼者と事業者の間に入り、代理人として解約交渉や返金交渉をする等の行為はできません。

代わりに交渉することは法律事務にあたります。その線を引いているのが弁護士法72条です。

弁護士法72条を開く

弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

読むところは「報酬を得る目的で」と「業とする」です。料金をもらって繰り返し行う形なら、探偵業の届出があっても外れません。

条文には周旋も並んでいます。自分で交渉しなくても、弁護士でない誰かに引き合わせる形が入ります。慰謝料の請求まで面倒を見ると説明された場合は、そこがどう組まれているかを確かめてください。

だから「お金を取り戻します」「相手と話をつけます」という説明が出てきたら、そこは探偵業務の外です。国民生活センターは、被害金を回復すると言われた場合には契約を避けるよう促しています。料金の場面での見方は浮気調査の費用は内訳で比べるにまとめました。

委託先にも、探偵業者であることが必要(9条2項)

届出をしていない相手に、調査そのものを回すことはできません。委託を禁じているのは探偵業法9条2項です。

探偵業者は、探偵業務を探偵業者以外の者に委託してはならない。

依頼した相手と、実際に張り込みをする相手が違っていても、その相手が探偵業者であることまでは求められています。

一括見積もりのサイトを通す場合は、ここが分かりにくくなります。見積もりを取り次ぐことと、調査を委託することは別なので、契約書に書かれている相手が誰かを見ることになります。契約の書面で確かめる項目は探偵の契約書に書かれる8項目にあります。

どの会社が何を行うかを聞き、契約書の調査内容・期間・方法と照合します。届出の有無だけでなく、生活の平穏や権利を害する方法でないかも確認してください。

調査された側からの開示請求は、個人情報の開示を求める手続きに分けて説明しています。

断られたら、用事に合う相談先へ

ここまでの内容から、断られる場合の見方が決まります。引き受けられないと言われたとき、それは事務所の力量の問題ではなく、条文の側で決まっていることがあります。

法令上の制限を理由に断られたなら、同じ方法を受ける事務所を探す前に、目的を別の相談先へ伝えます。つきまといや暴力が関わるなら警察相談専用電話(#9110)、配偶者や交際相手からの暴力なら配偶者暴力相談支援センターがあります。契約や料金でもめている場合は消費者ホットライン(188)です。

自分で調べる場合は、この6条の枠そのものから出ます。何が働かなくなるかは浮気調査を自分でやると、探偵業法の外に出るにまとめました。

張り込みの場所や道具にも別の条文が線を引いています。調査の張り込みと道具にも線引きがあるにまとめました。

この記事で確かめたこと

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