探偵に尾行を頼む前に。目的と方法の制限を知る
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尾行は、他人の依頼を受けて調べる「探偵業務」の定義に含まれます。ただし、探偵へ頼めばどんな目的・方法でも適法になるわけではありません。 依頼する前に、結果の使い道と調べ方を分けて伝え、どこまで行う提案かを確認します。
尾行に不安がある方は、契約や調査を急いで決めず、手元の資料で法律相談する方法もあります。このページでは、探偵業法の定義と、目的・方法に関する別の制限を読み分けます。
依頼前に分けること読む箇所・聞くこと
何のために調べるか
結果の使い道を伝える
探偵業法9条と、ストーカー規制法2条の目的の要件を別々に確認する
どのように調べるか
場所と行為を具体的に聞く
軽犯罪法などの制限は、依頼したかどうかだけで外れない
相手の生活や権利への影響
生活の平穏を害する方法を避ける
探偵業法6条は、他の法令の制限と個人の権利利益の両方に注意を求めている
探偵業法は、尾行を業務の中身として書いている
探偵業法は、尾行を探偵の仕事の方法のひとつとして挙げています。だから尾行をすること自体を禁じる条文は、この法律の中にありません。
探偵業法2条1項が、探偵業務(他人の依頼を受けて調べる仕事)を定めています。
探偵業法2条1項を開く
この法律において「探偵業務」とは、他人の依頼を受けて、特定人の所在又は行動についての情報であって当該依頼に係るものを収集することを目的として面接による聞込み、尾行、張込みその他これらに類する方法により実地の調査を行い、その調査の結果を当該依頼者に報告する業務をいう。
「面接による聞込み、尾行、張込みその他これらに類する方法」と並んでいます。尾行は、この法律が想定している方法のひとつです。
ただし6条が、この法律で他の法令の制限が外れるわけではないと念を押しています。同じ念押しは浮気調査のGPSは条文でどう扱われるかでも効いていました。尾行が問題になるとしたら、探偵業法ではなく別の法律の側です。
ストーカー規制法には目的の要件が付いている
行為だけを見ると、尾行はストーカー規制法の「つきまとい等」と重なります。2条1項の柱書がこうです。
2条1項を開く
この法律において「つきまとい等」とは、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、次の各号のいずれかに掲げる行為をすることをいう。
読みどころは「恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で」です。行為の前に目的が置かれていて、その目的でしたものだけが「つきまとい等」になります。
1号に挙がっている行為はこうです。
全文を開く(111字)
つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校その他その現に所在する場所若しくは通常所在する場所(以下「住居等」という。)の付近において見張りをし、住居等に押し掛け、又は住居等の付近をみだりにうろつくこと。
つきまとい、待ち伏せ、見張り。探偵の尾行や張込みと、行為としては同じものが並んでいます。この定義では、行為に加えて目的の要件を確認します。依頼して行われる調査か、自分で行うかという区別だけでは決まりません。
探偵へ依頼したことだけで、ストーカー規制法の目的の要件に当たらないとは決められません。具体的な目的と行為を分けて相談してください。自分で浮気調査をする場合の確認でも、探偵業法の対象かと、他の法令の制限を分けています。
目的の要件が無い条文もある
ストーカー規制法とは別に、軽犯罪法1条28号があります。
他人の進路に立ちふさがつて、若しくはその身辺に群がつて立ち退こうとせず、又は不安若しくは迷惑を覚えさせるような仕方で他人につきまとつた者
こちらには感情の目的が書かれていません。代わりに置かれているのが「不安若しくは迷惑を覚えさせるような仕方で」です。
同じ条の23号は、住居や浴場をひそかにのぞき見た者を挙げています。尾行そのものではありませんが、追った先で何を見るかによっては、ここに近づきます。
つまり尾行のまわりには、目的で切る条文と、やり方で切る条文の両方があります。どちらも「尾行だから違法」とは書いていません。
依頼する側にも条文が向いている
探偵業法9条1項です。主語は探偵業者、つまり届出を出して営業している事務所です。
探偵業者は、当該探偵業務に係る調査の結果が犯罪行為、違法な差別的取扱いその他の違法な行為のために用いられることを知ったときは、当該探偵業務を行ってはならない。
条文の名宛人は事務所ですが、効き方は依頼する側に向いています。結果が違法な行為に使われると知ったときは、業者は調査を行えません。依頼のときに書面で使い道を確かめられるのはこのためで、依頼のときに書く書面は何のためにあるかにまとめました。
9条2項は、探偵業務を探偵業者以外の者に委託してはならないとしています。下請けに出す先も届出をしている業者でなければならない、ということです。
届出を確かめた事務所の書き方
このサイトが載せている総合探偵社クロルは、会社概要のページに拠点ごとの探偵業届出証明書の番号を出しています(東京本社は東京都公安委員会 第30210097号)。CORE探偵事務所はトップページに探偵業標識の画像を掲示していて、フッターにも番号のテキストがあります(東京都公安委員会 第30250261号)。
どちらも料金は下限の形か事例の形でしか出ていないので、金額はここに書いていません。尾行や張込みを何日ぶん行うかで額が動くため、日数を決めてから見積もりを取ることになります。
番号が出ていることと、その方法が適法であることは別です。届出は審査に通ったことではないので、確かめられるのは届け出た事実までになります。そのうえで、上に並べた条文のどれに当たりうるかを、依頼のときの書面で詰めます。
相談へ持っていく、目的と方法のメモ
- その事務所が届出をしているか。番号の確かめ方は探偵業届出番号と標識を確かめる手順にあります
- 調査の方法として何をするのか。尾行と張込みは条文にある方法なので、書面で確かめられます
- 結果を何に使いたいか。9条1項の制限があるため、事実に沿って説明し、受けられる範囲を聞きます
契約の書面に何が書かれるかは探偵に依頼するときの契約書面にまとめました。
つきまといを受けている、身の安全に不安がある方は、調査を依頼する前に警察相談専用電話#9110へ相談できます。契約や費用のトラブルは消費者ホットライン188、個別の法的判断は弁護士へ相談してください。
この記事で確かめたこと
- 原文から引用した文
- 5件
- 出典
- 3件(法令 3)
- 公開
引用が出典の原文と一致するかを、公開後も機械で照合しています。確かめ方は運営者情報にあります。