素行調査と身辺調査の違い|名前より内容を確認
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素行調査と身辺調査は、名前だけで法律上の扱いを分けられません。特定の人の所在や行動を実地に調べ、依頼者へ報告するかが、探偵業務(他人の依頼を受けて調べる仕事)に当たるかを考える軸です。
料金を比べる前に、何を調べるか、どう集めるか、どんな報告を受け取るかを聞いてください。同じ名前でも内容が違えば、必要な費用も変わります。
依頼の中身探偵業務にあたるか
相手の行動を尾行して記録する
あたる
相手の住所を聞込みで確かめる
あたる
公開書類だけで経歴を確認して完結する
実地の調査を伴わない
書類の確認と聞込みを組み合わせる
調査全体の内容を確認する
頼む前に確かめること
見積もりを頼む前に、目的・方法・受け取るものを確認します。
- 集めるのは行動か、それとも書類の上の事実か
- その部分は探偵業務として契約に入っているか
- 入っていない部分について、料金と成果物はどう決まっているか
対象となる法律の説明だけで終わらせず、依頼全体の費用と成果物がどこに記録されるかを確認します。料金の形そのものは浮気調査の費用の形で分けて書きました。
聞き方も、名前ではなく行為で聞くほうが確実です。「身辺調査はできますか」だけでは、具体的な方法が分かりません。「尾行はしますか」「聞込みはしますか」「書類の取得だけですか」と分けて聞けば、どこまでが探偵業務として契約に入るのかが答えの側に出てきます。
結婚を理由にした調査を頼む場合は、伝え方にも気をつけることになります。出身や家族の事情を知りたいと伝えると、上の9条1項の「知ったとき」に当たって断られることがあります。断られること自体は事務所の判断が正しく働いた結果なので、別の事務所を探すより、依頼の中身を見直すほうが先になります。
事務所ごとの違いを見るときの材料は、探偵業届出番号と標識を確かめる手順にまとめています。
法律が定義しているのは1つだけ
探偵業法2条1項が定義しているのは「探偵業務」です。
探偵業法2条1項を開く
この法律において「探偵業務」とは、他人の依頼を受けて、特定人の所在又は行動についての情報であって当該依頼に係るものを収集することを目的として面接による聞込み、尾行、張込みその他これらに類する方法により実地の調査を行い、その調査の結果を当該依頼者に報告する業務をいう。
ここでは、収集する情報と調べ方を分けて見ます。依頼を受けることと、結果を依頼者に報告することも定義に含まれます。
何を集めるか / どうやって集めるか
- 特定人の所在または行動
- 面接による聞込み・尾行・張込み・これらに類する方法での実地の調査
表の2点だけでなく、依頼・報告を含む業務全体を確認します。事務所が付けている商品名とは関係なく、この定義で決まります。
行動の調査か、書類の確認だけかを聞く
誰がいつどこにいたかを、依頼を受けて尾行や張込みで調べ、報告する業務は定義に当たります。ただし「素行調査」と名付けられただけで判断せず、実際の方法を確かめます。
身辺調査は中身が一定していません。行動を追う部分があれば探偵業務ですが、経歴や勤務先、家族構成を書類や名簿から調べる部分は、そうとは限りません。公開された書類だけを確認して完結する仕事と、聞込みや尾行も組み合わせる仕事を分けて考えます。勤務先などの情報も調査内容によって所在・行動に関係するため、項目名だけでは判定できません。
一部の作業だけを切り出して、義務なしと決めない
書類確認だけで完結し、実地の調査をしない仕事は、探偵業務の定義から外れることがあります。ただし、探偵業務を行う事業者の届出義務まで、その作業を理由に消えるわけではありません。
聞込みや尾行と書類確認を組み合わせた依頼なら、契約全体の内容を確かめます。「書類の部分は対象外だから、何も説明しなくてよい」とは判断できません。契約前後の説明・書面は探偵業法8条、使い道の確認書面は7条で確認します。
以前のこの記事では、作業の一部分が定義から外れると、届出や書面の義務も一律に外れるように説明していました。2026年9月28日に、業務全体と個別の作業を区別する内容へ訂正しました。
届出の位置づけは探偵業は届出であって許可ではないにまとめています。
それでも自由になるわけではない
探偵業法の対象かどうかとは別に、個人情報や私生活を守る法令を守る必要があります。調査会社に頼めば自由に情報を集められる、とは考えないでください。
探偵業務についても、6条は特別な権限が付くわけではないと定めています。
6条を開く
探偵業者及び探偵業者の業務に従事する者(以下「探偵業者等」という。)は、探偵業務を行うに当たっては、この法律により他の法令において禁止又は制限されている行為を行うことができることとなるものではないことに留意するとともに、人の生活の平穏を害する等個人の権利利益を侵害することがないようにしなければならない。
この法律があるから他の法令で禁止されていることができるようになる、というものではないと書いてあります。個人情報の扱いや住居侵入の禁止は、そのまま生きています。
使い道で止まる場面がある
もう一つ、依頼の目的による線があります。探偵業法9条1項で、7条の書面と対になる決まりです。
探偵業者は、当該探偵業務に係る調査の結果が犯罪行為、違法な差別的取扱いその他の違法な行為のために用いられることを知ったときは、当該探偵業務を行ってはならない。
「知ったとき」なので、契約のあとに分かった場合も含みます。身辺調査で問題になりやすいのはここです。結婚や採用を理由にした調査は、出身や家族の事情に触れることがあります。
依頼するときに何を伝えるかは探偵に依頼するときの流れで見てください。
採用のための調査は、頼む側にも制限がかかる
身辺調査を頼む理由でよくあるのが採用です。探偵業法に加えて、頼む会社の個人情報の扱いは職業安定法5条の5第1項でも確認します。
職業安定法5条の5第1項を開く
公共職業安定所、特定地方公共団体、職業紹介事業者及び求人者、労働者の募集を行う者及び募集受託者、特定募集情報等提供事業者並びに労働者供給事業者及び労働者供給を受けようとする者(次項において「公共職業安定所等」という。)は、それぞれ、その業務に関し、求職者、労働者になろうとする者又は供給される労働者の個人情報(以下この条において「求職者等の個人情報」という。)を収集し、保管し、又は使用するに当たつては、その業務の目的の達成に必要な範囲内で、厚生労働省令で定めるところにより、当該目的を明らかにして求職者等の個人情報を収集し、並びに当該収集の目的の範囲内でこれを保管し、及び使用しなければならない。
並んでいる相手の中に「求人者」と「労働者の募集を行う者」があります。つまり採用する会社そのものが名指しされています。
制限は2つです。集める範囲が目的の達成に必要な範囲内であること。そして集めるときに、その目的を明らかにすることです。
調査を外注しても、この制限は依頼した側から消えません。探偵業者、つまり届出を出して営業している探偵事務所の側で定義から外れる部分があっても、頼んだ会社には職業安定法の制限がかかったままになります。
目的をどう明らかにするかも決まっている
条文は「厚生労働省令で定めるところにより」としていて、その送り先は職業安定法施行規則4条の4です。
法第五条の五第一項の規定により業務の目的を明らかにするに当たつては、インターネットの利用その他適切な方法により行うものとする。
条文は「インターネットの利用その他適切な方法」としており、サイトへの掲載だけに限定していません。応募者に目的が伝わる方法かを確認します。
また、目的を伝えればどんな調査でもよいわけではありません。厚生労働省の公正採用選考のFAQは、本人の適性・能力に関係のない情報を集める身元調査が、就職差別につながるおそれを示しています。採用を理由に家族や出身の調査を広げないことが大切です。
相談先を選ぶ前に、調べる目的を絞る
離婚や慰謝料のために考えているなら、先に法律相談で必要な資料を整理する方法があります。今ある資料で足りるなら、新しく調査を頼まない選択もできます。離婚相談に持っていく資料を参考にしてください。
行方不明者の安否が心配な場合は、民間への依頼より先に警察への相談が必要なことがあります。人探しの相談先で入口を分けています。
戸籍や住民票も、探偵だから自由に取得できるものではありません。第三者請求と職務上請求の違いを確認し、入手方法の説明が曖昧なら契約を急がないでください。
職業安定法施行規則4条の4は2026年10月9日に10月施行版で再確認しました。目的を明らかにする方法の条文に変更はありません。目的を示すことと、適性・能力に関係のない情報を調べてよいことは別です。
この記事で確かめたこと
- 原文から引用した文
- 5件
- 出典
- 3件(法令 3)
- 更新
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