探偵は戸籍や住民票を取れる?請求の根拠を分けて確認
本記事にはアフィリエイト広告(PR)を含みます。
探偵業の届出は、戸籍や住民票を自由に取れる特別な権限ではありません。一方で、一般の第三者請求まで一律にできないという意味でもありません。取れると言われたら、誰が、何の目的で、どの規定を根拠に請求するのかを聞きます。
肩書きより先に、請求する根拠を確かめる
- 本人・家族など
- 戸籍に記載されているか、配偶者・直系の関係か。請求する戸籍を確認。
- 一般の第三者
- 権利・義務、公的機関への提出、正当な理由。目的と必要性を説明。
- 職務上請求
- 条文にある資格と、受任した事件・事務の必要性。探偵の届出とは別。
「取れる」と言われたら、方法を先に聞く
- 欲しいのは戸籍か住民票か。何に、どの項目を使うのか
- 請求する人は誰か。本人・家族の請求、第三者請求、職務上請求のどれか
- 第三者請求なら、どの理由で取れると説明するのか
自分で取れる立場なら、役所の窓口に聞く方法もあります。誰かに代わりを頼む場合は、頼んだことを示す書類や本人確認の方法を窓口に確かめます。「仕事のために取れる」という説明だけで安心せず、どの資格で、何を引き受け、なぜ必要なのかを聞いてください。
戸籍を請求できる人は限られている
10条1項は、その戸籍に記載されている者(条文に定める除かれた者を含む)や、その配偶者・直系尊属(親や祖父母)・直系卑属(子や孫)の請求を定めています。根拠は戸籍法10条1項です。
戸籍法10条1項を開く
戸籍に記載されている者(その戸籍から除かれた者(その者に係る全部の記載が市町村長の過誤によつてされたものであつて、当該記載が第二十四条第二項の規定によつて訂正された場合におけるその者を除く。)を含む。)又はその配偶者、直系尊属若しくは直系卑属は、その戸籍の謄本若しくは抄本又は戸籍に記載した事項に関する証明書(以下「戸籍謄本等」という。)の交付の請求をすることができる。
兄弟姉妹という関係だけでは直系に当たりません。ただし、兄弟姉妹自身が請求対象の戸籍に記載されている場合などは別です。関係の名前だけで一律に請求できないとせず、どの戸籍を求めるのかを確認します。
10条2項は、不当な目的が明らかな請求を市町村長が拒むことができると定めています。請求できる立場であっても、目的の制限は読み落としません。
それ以外の人は、場合が限られる
それ以外の人は、決められた場合に限って請求でき、請求するときは理由を示す必要があります。根拠は戸籍法10条の2第1項です。
前条第一項に規定する者以外の者は、次の各号に掲げる場合に限り、戸籍謄本等の交付の請求をすることができる。
続く各号は、自分の権利を使ったり義務を果たしたりするために必要な場合、公的機関に出す必要がある場合、その他の正当な理由がある場合です。どの理由で欲しいのかを明らかにして請求します。
「誰でも取れる」でも「絶対に取れない」でもありません。理由を伝え、その場合に当たるときに限られる、という仕組みです。
職務上請求ができるのは8つの資格
同条3項は、資格を持つ人が引き受けた事件や事務のために請求できる場合を定めています。そこに並ぶのは弁護士・司法書士・土地家屋調査士・税理士・社会保険労務士・弁理士・海事代理士・行政書士です。
住民票のほうも同じ形です。住民基本台帳法12条の3第3項が、2項でいう「特定事務受任者」を定義しています。
住民基本台帳法12条の3第3項を開く
前項に規定する「特定事務受任者」とは、弁護士(弁護士法人及び弁護士・外国法事務弁護士共同法人を含む。)、司法書士(司法書士法人を含む。)、土地家屋調査士(土地家屋調査士法人を含む。)、税理士(税理士法人を含む。)、社会保険労務士(社会保険労務士法人を含む。)、弁理士(弁理士法人を含む。)、海事代理士又は行政書士(行政書士法人を含む。)をいう。
二つの法律に、同じ8つの資格が出てきます。探偵業者(届出を出して営業している探偵事務所)はどちらにも入っていません。届出をしていても、この列挙には加わりません。
届出があっても、他の法律の制限は外れない
探偵業の届出によって、他の法令の制限が外れるわけではありません。前提は探偵業法6条です。
探偵業法6条を開く
探偵業者及び探偵業者の業務に従事する者(以下「探偵業者等」という。)は、探偵業務を行うに当たっては、この法律により他の法令において禁止又は制限されている行為を行うことができることとなるものではないことに留意するとともに、人の生活の平穏を害する等個人の権利利益を侵害することがないようにしなければならない。
戸籍法と住民基本台帳法の制限も、この「他の法令」にあたります。届出をしたから取れるようになる、という関係ではありません。
届出そのものが何を意味するかは探偵になるのに資格は要らないにまとめました。できないことの全体像は探偵業法でもできないことがあるにあります。
住民票の第三者申出は、必要な項目も説明する
住民基本台帳法12条の3第1項も、権利の行使・義務の履行、公的機関への提出、その他の正当な理由を挙げています。申出を相当と認めるとき、市町村長は交付することができます。理由を示せば必ず交付される、とまでは定めていません。
1項が扱う「基礎証明事項」は、氏名やその振り仮名、生まれた日、男女の別、住所などです。7条4号の世帯主の氏名や続柄、5号の戸籍の表示(本籍)は、この基本の範囲に入りません。
ただし、第三者には本籍や続柄が絶対に出ない、とするのも正確ではありません。 12条の3第7項・第8項は、目的を果たすためにほかの項目も必要なら、その旨を申し出ることができ、役所が相当と認めるときは交付できると定めています。個人番号と住民票コードは、この追加の対象に入りません。
欲しいもの / 条文から確かめること
- 基礎証明事項
- 12条の3第1項の理由に当たるか、役所が相当と認めるか
- 本籍や続柄も欲しいとき
- 同条7項・8項。なぜ必要かを示し、役所が相当と認めるか
- 個人番号・住民票コード
- 同条7項。この追加の対象には入らない
身辺調査を頼んだから全て見られる、という仕組みではありません。何が欲しいのかを先に絞り、窓口の案内に従います。
調査で知りたいことと、必要な証明書を分ける
行動の調査と、役所で証明書を請求する手続きは分けて考えます。探偵業務、つまり他人の依頼を受けて調べる仕事は、特定の人の所在や行動について実地の調査をし、その結果を報告することです。
実地の調査や公開情報を扱う場合も、方法や目的に法令の制限が働きます。戸籍や住民票の請求を含む説明があるなら、探偵業の届出を理由にせず、その請求に必要な根拠を別に確かめます。
「どこまで分かるか」の上限は、事務所の力量ではなく法律で決まっている部分があります。見積もりを取るときは、何を根拠に調べるのかを聞くと、この線がはっきりします。
このサイトが載せている総合探偵社クロルは、会社概要のページに拠点ごとの探偵業届出証明書の番号を出しています(東京本社は東京都公安委員会 第30210097号)。料金は調査別の基本料金が税別かつ下限の形で示されているため、金額はここに書いていません。諸経費の扱いは料金ページと特定商取引法に関する記述のページで書き方が違うので、契約前の書面で確かめることになります。
素行調査と身辺調査の区別は素行調査と身辺調査の違いを内容で確認するにあります。
説明が分からないうちは契約を保留する
戸籍や住民票を取ってくると言われた場合、その方法は説明を聞く必要があります。戸籍は、依頼者自身が10条1項の立場に当たるか、不当な目的でないかを確認します。そうでない場合に取れるという説明が出てきたら、根拠を確かめてください。
このページは、どの事務所が違法かを判断するものではありません。実際に取れるかは、何に使うのか、誰のものが欲しいのかを窓口へ伝えて確かめてください。
契約する前に説明を受ける重要事項の項目は探偵の重要事項説明は契約前に受けるにまとめました。
この記事で確かめたこと
- 原文から引用した文
- 4件
- 出典
- 3件(法令 3)
- 公開
引用が出典の原文と一致するかを、公開後も機械で照合しています。確かめ方は運営者情報にあります。