探偵の依頼ノート

告訴と告発の違い|相談前に立場と期限を整理する

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2026/9/21公開

調査報告書から犯罪に関わる疑問が出たら、誰が被害を受け、いつ何を知ったかを整理して相談します。告訴できる立場と告発できる立場は異なり、親告罪には告訴の期限もあります。報告書の受取日だけで期限を計算せず、弁護士や警察の相談窓口へ経緯を伝えてください。

期限を相談するための、別々の日付

行為があった日
何が起きたか。分からない日付は推測で埋めない。
相手を知った日
誰が、いつ、何から知ったかを記録する。
報告書の受取日
調査資料を受け取った日。起算点と同じとは限らない。
刑事訴訟法235条の「犯人を知った日」を相談するための整理図です。日付から期限を自動計算せず、犯罪の種類や告訴できる立場も確認します。

相談へ持っていく3つの記録

  • 起きたこと:行為・日時・相手・被害。分かる事実と推測を分ける
  • 知った経緯:いつ、何から、誰の行為だと分かったか
  • 希望:告訴・告発を考えているのか、まず対応を相談したいのか

報告書や手元の資料も一緒に示します。犯罪に当たるか、どの手続きが必要かは、記事だけで決めません。浮気をめぐる民事相談と犯罪に関わる相談は別の記事で整理しています。

告訴

  • 被害者本人や法定代理人など。死亡時の親族や他の立場も条文で確認
  • 親告罪では公訴の条件そのものになる
  • 231条2項の死亡時の親族には、本人の明示した意思に反せない制限

告発

  • 何人でもできる
  • 公務員は職務上知った犯罪について義務
  • 親告罪に必要な告訴の代わりにはならない

できる人と、公訴の条件となる告訴を分けて読む

告訴と告発の違い(刑事訴訟法230条・231条・239条)

告訴できる立場を確認する(230条以降)

告訴ができる立場は、犯罪で害を被った本人のほか、法律で定められています。ここでは230条・231条を中心に読みます。

被害者本人については、刑事訴訟法230条です。

犯罪により害を被つた者は、告訴をすることができる。

本人以外にも告訴できる立場が、231条に定められています。

被害者の法定代理人は、独立して告訴をすることができる。被害者が死亡したときは、その配偶者、直系の親族又は兄弟姉妹は、告訴をすることができる。但し、被害者の明示した意思に反することはできない。

法定代理人(未成年者の親権者など)は、被害者とは別に自分の判断で告訴できます。被害者が亡くなっている場合は配偶者・直系の親族・兄弟姉妹に広がりますが、「被害者の明示した意思に反することはできない」というただし書きが付きます。生前に本人が告訴しないと明言していた場合、この立場からも告訴はできません。

232条は法定代理人が被疑者である場合など、233条は死者の名誉を毀損した罪など、234条は告訴できる者がない親告罪について定めています。図の立場だけを全てと考えず、本人が亡くなった場合などは具体的な関係を相談先へ伝えます。

告発は誰でもできる(239条)

告発は被害者に限らず、誰でもできます。根拠は239条です。

何人でも、犯罪があると思料するときは、告発をすることができる。官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。

「何人でも」なので、調査を依頼した本人が被害者でない場合や、第三者として犯罪の事実を知った場合でも告発はできます。公務員については、職務上知った犯罪の告発が「しなければならない」という義務になっている点も、告訴との違いです。

出す先と方法(241条)

告訴も告発も、検察官か司法警察員(主に警察官)に、書面でも口頭でも出せます。241条1項です。

告訴又は告発は、書面又は口頭で検察官又は司法警察員にこれをしなければならない。

口頭で伝えた場合は、受けた検察官や司法警察員が調書を作らなければならないと、241条2項が定めています。口頭で伝えても、その場で調書という書面が作られます。「書面を用意しないと受け付けてもらえない」わけではありません。ただし、調査報告書や証拠を一緒に示せるかどうかで、対応のしやすさは変わります。証拠としての使い方は調査報告書は証拠として使えるかにまとめました。

告訴は本人が出向かなくても、代理人に頼んで出すことができます。取り消すときも同じです(240条)。

親告罪の期限を、報告書の受取日だけで決めない(235条)

235条本文は、親告罪の告訴を「犯人を知った日」から6か月としています。公訴時効や民事の請求期限とは別の期間です。

名誉毀損(刑法230条1項)は、刑法232条1項により告訴がなければ公訴を提起できない罪、つまり親告罪です。

この章の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

「この章」は刑法の第34章「名誉に対する罪」です。名誉毀損のほか、事実を挙げずに人を侮辱する侮辱罪(231条)も同じ章に入っています。

期間の制限は刑事訴訟法235条にあります。

親告罪の告訴は、犯人を知つた日から六箇月を経過したときは、これをすることができない。

引用は235条本文です。同条には外国の代表者や使節に関するただし書があります。236条は、告訴できる者が複数いる場合、一人の期間経過が他の者には効力を及ぼさないと定めています。

行為の日、相手を知った日、報告書を受け取った日は分けて記録します。 調査報告書を受け取った日が、必ず「犯人を知った日」になるとは判断しません。誰がいつ何を知っていたかを伝え、起算点や期限を法律相談で確認してください。

取り消したら、もう一度は出せない(237条)

告訴は起訴されるまでなら取り消せますが、取り消すと同じ事件でもう一度告訴することはできません。

取り消せる期間は237条1項です。

告訴は、公訴の提起があるまでこれを取り消すことができる。

示談が成立した、あるいは関係を続けることにしたなど、事情が変わって取り消したくなる場合です。ただし、取り消せば終わりというわけではありません。同じ237条の2項が、取り消したあとのことを決めています。

告訴の取消をした者は、更に告訴をすることができない。

6か月の期限内であっても、一度取り消せば告訴の権利そのものが失われます。

相手が複数いる場合にも注意が要ります。親告罪では、共犯の一人だけを選んで告訴しても、ほかの共犯にも効力が及びます。取り消したときも同じです(238条1項)。迷っている段階で急いで取り消さず、方針を決めてから手続きを進めるほうが確実です。

手続きや取消を決める前に相談する

期限が気になるときも、報告書の完成まで待つと決めず、今ある資料で相談します。親告罪か、告訴できる立場か、起算点はいつか、取消が誰に及ぶかを確認してください。

探偵業の届出だけで、法律上制限される代理業務を行えるわけではありません。探偵業法と他の法令の制限も確認し、告訴の方針や手続きは弁護士・警察へ相談します。報告書の不足がある場合は、法律相談で必要な情報を確かめてから、事務所に事実の確認や修正を頼みます。

この記事で確かめたこと

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