探偵の処分歴の調べ方|公表範囲と統計の限界
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処分の公表は確認材料ですが、掲載がないことは安全の証明になりません。警察庁の統計は届出7,354件と1年間の行政処分19件を示します。これは全国の1年分の数字で、個々の事務所の過去の処分歴を網羅した名簿ではありません。
全国の数字から、個々の事務所は選べない
いずれも「指示」
集計する対象と期間が違うため、19 ÷ 7,354 を処分率として使えません。
事務所ごとは、所在地の公表資料・標識・契約前後の書面を確かめる。
候補を確かめる順番は、所在地の都道府県警が公表する処分情報、契約する営業所の標識、契約前の説明書面です。処分の掲載が見つからなくても、残りの確認を省かないでください。以下、全国の数字が何を示し、何を示さないかを整理します。
届出は7,354件ある
まず母数です。2026年8月24日に令和7年(2025年)の資料を開きました。
令和7年末の届出数(営業所数)は、7,354件であり、前年比256件の増加となっている。
3年ぶんを並べると、増え続けています。
| 年 | 届出数(営業所) | 個人 / 法人 |
|---|---|---|
| 令和5年 | 7,027 | 5,113 / 1,914 |
| 令和6年 | 7,098 | 5,142 / 1,956 |
| 令和7年 | 7,354 | 5,293 / 2,061 |
7割が個人での届出です。 法人が2,061件なので、「会社」ではなく個人で営んでいる事務所のほうが多いことになります。
なぜこれだけ簡単に増えるかというと、探偵業が届出制だからです。資格試験も許可審査もありません。仕組みは探偵に資格は要らないにまとめました。
処分は年19件だった
同じ資料の3番目の項目です。
令和7年中の探偵業者に対する行政処分は、営業廃止命令が0件(前年比±0件)、営業停止命令が0件(前年比±0件)、指示が19件(前年比-15件)であった。
営業を止められた事務所は0件、廃業させられた事務所も0件。残る19件は「指示」で、これは業務のやり方を直すよう命じられたものです。
3年ぶんの推移です。
| 年 | 営業廃止命令 / 営業停止命令 | 指示 |
|---|---|---|
| 令和5年 | 0 / 1 | 29 |
| 令和6年 | 0 / 0 | 34 |
| 令和7年 | 0 / 0 | 19 |
この年に公表された行政処分は19件でした。
ここで割り算をしたくなりますが、注意が要ります。届出数は営業所を数えたもので、処分は事務所(届出を出して営業している探偵業者)に対して行われます。数える単位が違うので、19 ÷ 7,354 を「処分される確率」として扱えません。言えるのは、桁として2〜3桁の開きがあることまでです。
処分の3つの段階
条文を見ると、処分は軽いほうから3段階に分かれています。探偵業法14条が指示です。
探偵業法14条を開く
公安委員会は、探偵業者等がこの法律又は探偵業務に関し他の法令の規定に違反した場合において、探偵業の業務の適正な運営が害されるおそれがあると認められるときは、当該探偵業者に対し、必要な措置をとるべきことを指示することができる。
「おそれがあると認められるとき」に出ます。続く15条1項が営業停止です。
15条1項を開く
公安委員会は、探偵業者等がこの法律若しくは探偵業務に関し他の法令の規定に違反した場合において探偵業の業務の適正な運営が著しく害されるおそれがあると認められるとき、又は前条の規定による指示に違反したときは、当該探偵業者に対し、当該営業所における探偵業について、六月以内の期間を定めて、その全部又は一部の停止を命ずることができる。
「著しく」が付いています。 さらに15条2項が営業廃止命令で、こちらは3条の欠格事由に当たる者が営んでいる場合に出ます。
令和7年の全国集計では停止と廃止が0件です。違反がなかった、あるいは将来も処分されないという意味ではありません。
指示19件の中身は書面に集まっている
資料には内訳も出ています。令和7年の19件はこう分かれます。
| 内容 | 件数 |
|---|---|
| 変更届出書等虚偽 | 4 |
| 書面交付違反 | 4 |
| 実施原則違反 | 2 |
| 書面受理違反 | 2 |
| 教育義務違反 | 2 |
| 名簿不整備・虚偽 | 2 |
| 業に関し他法令違反 | 2 |
| 標識掲示違反 | 1 |
書面に関するものが10件で、半分を超えています。変更届出書の虚偽、契約時に交付する書面の不備、依頼者から受け取る書面の不備。処分の理由として実際にいちばん多いのがここです。
書面は、依頼する側が契約前後に確かめられます。契約後に受け取る書面の項目は探偵の契約書に書かれる8項目、契約の前に説明が義務づけられている項目があります。契約する前に説明を受ける重要事項説明にまとめました。
標識掲示違反が初めて1件出た
表の最後にある「標識掲示違反」は、令和7年に初めて出た項目です(令和5年・令和6年は0)。
自社サイトへの標識の掲示が義務になったのは2024年4月1日なので、義務が始まってから2年目に、最初の1件が出たことになります。この義務の中身と、掲示義務が免除される場合は届出標識の確認項目とウェブ掲示の例外にあります。確かめる手順は探偵業届出番号と標識を確かめる手順です。
検挙は2件4人
行政処分とは別に、刑事の検挙もあります。
令和7年中における探偵業の業務の適正化に関する法律違反の検挙件数及び検挙人員は、2件4人(前年比-1件、+2人)であった。
うち1件1人が無届け営業でした。罰則は18条にあります。
次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処する。
その1号が、4条1項の届出をしないで探偵業を営んだ者です。
資料には、探偵業法以外での検挙もあると書かれています。軽犯罪法違反、ストーカー規制法違反、建造物侵入などです。探偵業法だけを見ていると、この部分が視界から外れます。探偵だからできることは増えないという話は探偵業法でもできないことがあるにまとめました。
この数字を選ぶ基準にしない
ここまでの数字から、事務所選びについて言えることは限られています。
年19件という統計から、他の事務所に過去の処分が一度もないとは言えません。「行政処分ゼロ」という表示を見るときは、対象期間と確認した地域・公表資料を確かめます。
逆に、処分を受けた事務所を避けたいと考えても、警察庁の資料には事務所の名前が出ていません。公表するかどうかは都道府県の公安委員会ごとの運用で、公表されている場合は各都道府県警のサイトに出ます。
公表されている処分の理由・対象・日付は比較材料です。所在地の都道府県警の公表ページで確認し、掲載がない場合も他の契約条件を確認してください。
代わりに見るもの
処分の理由がいちばん多かったのは書面でした。そこは依頼する側が確かめられる場所なので、順番としてはこうなります。
- 届出の標識が公式サイトにあるか(無い場合の読み方もある)
- 契約前に重要事項の説明を書面で受けられるか
- 契約後に交付される書面に8項目が入っているか
- 料金の内訳が、時間制かパックか成功報酬かで分かれているか
4番目は浮気調査の費用は内訳で比べるにまとめました。
届出があることは最低条件で、選ぶ理由にはなりません。届出は法令上の義務を満たすもので、調査結果や対応の質を保証しません。
相談できるところ
契約や料金でもめている場合は、消費者ホットライン 188 が窓口です。身の危険を感じるときは警察相談専用電話 #9110 があります。契約の争いそのものは解約と料金でもめたときの窓口に分けて書きました。
個々の事務所では、標識・契約書も見る
処分歴に加えて、届出の標識と契約前後の書面を確認します。標識の番号・名称・所在地が申込先と一致するかを見ます。
記事末尾の表に挙げた総合探偵社クロルは、会社概要に拠点ごとの届出証明書の番号を出しています(東京本社は東京都公安委員会 第30210097号)。公表ページを2026年8月31日に見たときに載っていたのは探偵事務所コンドルの1社だけで、この事務所は入っていませんでした。
同じ表のCORE探偵事務所も、公表ページに入っていません(2026年9月5日に再取得)。こちらはトップに標識の画像を掲示していて、alt に東京都公安委員会 第30250261号と入っています。
この2社について言えるのは、上記の日付に確認した東京都の公表ページに掲載がなかったことまでです。全国の届出件数と東京都の公表件数を比べて、処分を受ける割合は計算できません。契約前には最新の公表ページ、標識、見積書をそれぞれ確認してください。
数字の出どころは警察庁生活安全局生活安全企画課「令和7年中における探偵業の概況」で、2026年8月24日に取得したPDFです。処分を探す際は、公表期間や地域を必ず確認してください。
この記事で確かめたこと
- 原文から引用した文
- 6件
- 出典
- 2件(法令 1)
- 更新
引用が出典の原文と一致するかを、公開後も機械で照合しています。確かめ方は運営者情報にあります。